温泉法は昭和23年に「温泉を保護しその利用の適正を図り、公共の福祉の増進に寄与すること」を目的として制定されました。内容は第1章の第1条から第六章の第39条まで、温泉の定義から保護、罰則に至るまで定められています。以下に主な項目について見て行きたいと思います。
 

?温泉の定義
温泉法で定められている「温泉」とは、「地中からゆう出する温水、鉱水及び水蒸気その他のガス(炭化水素を主成分とする天然ガスを除く。)で別表に掲げる温度又は物質を有するものをいう」と定められています。水蒸気やガスまで温泉と定義されることには少し驚きますが、ここのサイトで言う温泉は地中からゆう出する温水、鉱水と考えたいと思います。

●温度・・・温泉源から採取されるときの温度が摂氏25度以上であること
●含まれる物質についての別表は以下のとおりです
・別表

物質名
含有量(1キログラム中)
溶存物質
(ガス性のものを除く。)
総量1,000ミリグラム以上
遊離炭酸(CO2) 250ミリグラム以上
ストロンチウムイオン(Sr++) 10ミリグラム以上
バリウムイオン(Ba++) 5ミリグラム以上
リチウムイオン(Li+)
1ミリグラム以上
フエロ又はフエリイオン
(Fe++,Fe3+++)
<10ミリグラム以上/td>
第1マンガンイオン
(Mn++)
10ミリグラム以上
水素イオン(H+) 1ミリグラム以上
臭素イオン(Br-) 5ミリグラム以上
沃素イオン(I-) 1ミリグラム以上
フッ素イオン(F-) 2ミリグラム以上
ヒドロヒ酸イオン
(HAsO4--)
1.3ミリグラム以上
メタ亜ヒ酸(HAsO2) 1ミリグラム以上
総硫黄(S)
〔HS+S2O3--H2Sに対応するもの〕
1ミリグラム以上
メタほう酸(HBO2) 5ミリグラム以上
メタケイ酸(H2SiO3) 50ミリグラム以上
重炭酸そうだ(NaHCO3) 340ミリグラム以上
ラドン(Rn) 20(100億分の1キュリー単位)以上
ラヂウム塩(Raとして) 1億分の1ミリグラム以上
上記のうち、どれか2点を満たすことが条件となります。

第2章では温泉の保護を目的とした、土地の掘削の許可や許可の有効期間、増掘又は動力の装置の許可について、第3章では温泉を公共利用する際の許可について書かれ、また温泉分析書と呼ばれる、温泉の成分、禁忌症及び入浴又は飲用上の注意の掲示についての規定も定められています。
第4章では諮問及び聴聞について、第5章では雑則、第六章では温泉法の違反者に対する罰則が規定されています。
 
 
 温泉を利用するときにはこの温泉法を守らなければならないので、例えば自分の所有する土地であっても、掘削の許可や動力の装置の許可を都道府県知事に得なければなりませんし、不特定多数の人に利用してもらうためにも許可が必要となります。

温泉の種類は多種多様で効能も様々なものがあり、一般的にあまり聞くことがない用語も含まれるために、なかなか理解しづらい面もあります。また法律で温泉について温泉法と行政指針としての鉱泉分析法指針の基準が異なることが、さらに複雑化を招いていると言えるでしょう。ここでは、簡単に温泉の成因についてふれ、基本的な三大要素について考えてみたいと思います。
 
 
まず温泉となるために必要なことは、?熱、?水、?成分です。この3要素が温泉と名乗るためには必要となります。

?熱源
熱の源がマグマによってもたらされるものを火山性温泉、そうでない熱源を持つものを非火山性温泉と呼ぶのですが(詳しくは「火山性温泉と非火山性温泉」の項参照)、現在活動している火山のマグマ溜まりだけではなく、活動を停止した後の固まったマグマ溜まりでも、高い熱を保持し続けているものもあります。

また、火山がなくともマグマが岩盤の間に流れる事によってそのまわりの岩石が熱を保持することもあります。火山が付近にないのに温かい水が湧出するのはこの要因である場合もあります。

また自然地温の熱も十分なエネルギーになりえます。この熱は岩石などに含まれる放射性元素が崩壊するときに発する熱であると考えられています。この他にも、放射性元素を多く含む岩石は熱を発するそうです。

さらに地球の内部は高温であるために深く掘削すれば温かい水が出ることがあります。
一般に深層熱水と呼ばれるのですが、水温は100m掘るごとに3度上昇し、理論的に1000m以上の大深度掘削をおこなえば温泉として十分な温度の温水を得ることができる計算になります。掘削技術が進歩した現代においては、たとえ浅い地層になんらかの熱源がなくとも温泉施設を作ることが可能なのです。


?水
温泉の元となる水。なんらかの水が豊富に蓄えられる環境でなければ深く掘削しても意味はありません。我々が普段目にする雨や海水が長い年月を得て地下に浸透し、熱源によって温めらたものの他に、マグマに含まれる水分がマグマが冷える際に表出したものなどもあります。


?成分
成分については「泉質の種類」の項でとりあげますが、やはらりなんらかの成分が溶け出す事が温泉には必要になり、その為に様々な効能が得られます。
成分には大きく分けてマグマに含まれている成分が溶け出したもの、岩石に含まれている成分、生物の活動によって得られる有機成分などがあります。

温泉法で掲示が定められている温泉分析表。温泉旅館や日帰り温泉施設の浴場の入り口などに掲示されていることが多いのですが、みなさんはじっくり眺めた事があるでしょうか。効能などの項目には目がいきがちなのですが、ここでは聞きなれない項目についても少し触れて見たいと思います。
 
 
<温泉分析書例>
1.源泉名 ○○温泉 
2.泉質 ナトリウム・カルシウム-塩化物泉(低張性弱アルカリ性温泉)
3.泉温 摂氏52.4度(気温27.0度)
4.沸出量 約170リットル/分(掘さく動力揚湯)
5.知覚的試験  無色透明 微塩味 無臭
6.pH値 6.8
7.効能 適応症、禁忌症 等

通常、浴場の入り口に掲げられている温泉分析書は上記の例が一般的なのですが、実際の温泉分析書には、さらに細かく泉水に含まれているイオンの濃度や成分などが詳細に書かれています。
 
 
では各項目について少し触れて見ましょう。
泉質は現在、新名の9種類もしくは旧名の11種類に分類され、上記は新名で書かれています。さらに上記の例を見ると低張性弱アルカリ性温泉とかかれています。

低張性とは浸透圧を表していて、温泉水1kgあたりの溶存物質総量により、低張性、等張性、高張性に分けられています。等張性は体内の細胞液とほぼ同等の浸透圧、高張性はより体内に入る成分が多いと言われています。低張性は等張性より浸透圧が低いものになります。

また温泉は泉温により分類されています。温度が42度以上の場合は高温泉、34度以上42度未満の場合は温温泉、25度以上34度未満の場合は低温泉、25度未満の場合は冷鉱泉とされています。例え温度が25度以下でも含有成分が基準以上含まれているものは温泉と呼ぶことが出来ます。

温泉分析書にはph値も示されていますが、このph値の値によってもpH2未満は強酸性泉、pH2以上pH3未満の場合は酸性泉、pH3以上pH6未満の場合は弱酸性泉、pH6以上pH7.5未満の場合は中性泉、pH7.5以上pH8.5未満の場合は弱アルカリ性泉、pH8.5以上pH10未満の場合はアルカリ性泉、pH10以上の場合は強アルカリ性泉と呼ばれ6種類に分類されています。

この他にも、もっとも重要な項目として禁忌症も書かれているので、入浴時は注意して見るように心がけたいものです。

現在、世界には約1500の活火山があるといわれています。そのほとんどが環太平洋地帯を中心に分布し、日本には世界の活火山の約1割が集中している世界有数の火山国です。
現在日本には108つの活火山があると言われています。温泉はその恩恵とも言えるのですが、私たちの身の回りにある温泉の熱源がすべて火山によってもたらされている訳ではありません。
温泉には火山性温泉と呼ばれるものと、非火山性温泉(深層熱水型温泉)と呼ばれるものがあります。
 
 
●火山性温泉
火山性温泉とは文字通り火山の地下のマグマ溜まりを熱源として温められた温泉のことです。この火山性温泉はさらに分類することが出来ます。ここでは代表的な3つについてふれて見ましょう。
ちなみに、現在火山として活動していなくとも過去の活動の痕跡による火山性温泉もあります。

?火山ガス加熱型温泉・・・マグマの熱で熱せられてできた温泉のことです。代表的な泉質は酸性泉が挙げられます

?熱水希釈型温泉・・・マグマの熱により熱せられた水が、比較的浅い場所で地下水で薄められてできた温泉で代表的な泉質は塩化物泉が挙げられます。

?蒸気加熱型温泉・・・地下で蒸発や沸騰してできた蒸気によって温められた温泉のことで代表的な泉質は硫酸塩泉や.炭酸水素塩泉が挙げられます。


●非火山性温(深層熱水型温泉)
非火山性温泉とは火山性の熱源とは関係なく、地下にいけばいくほど地中の温度が上がる
ことにより温められた温泉を言います(地温勾配)。非火山性温泉はさらに細かく分類されますが、ここでは代表例を挙げてみます。

?深層地下水型温泉・・・地中に閉じ込められ雨水が、自然地熱により温められたものをいいます。成分の薄い温泉が多く、地質により変わります。

?化石海水型温泉・・・地中に閉じ込められた海水が自然地熱で温められたものをいいます。塩分濃度が高く有機成分が多いのも特徴です。

?割れ目系循環型温泉・・・比較的新しい雨水がゆっくりと地下深層部を流れ、地熱で温められたものです。成分は薄い温泉が多くなります。

非火山性温泉の中には通常の地温勾配では説明できない程高温な温泉もあり、さまざまな仮説が提唱されていますが、はっきりとした要因がわからないものもあります。
日本三古湯にあげられている兵庫県神戸市北区にある有馬温泉の熱源はいまだ解明されていない謎の多い温泉の一つとして有名です。

最新ニュース

  • Yahoo!…日本最大のポータルサイト
  • Yahoo!ニュース…最新の話題、ニュース速報
  • Yahoo!ショッピング…買い物、オークションのネットマーケット